某文学部生のブログ

ずっと大学にいたい

羊羹を食べながら暇つぶしにブログ

逸る気持ちを抑えながら、帰路に買った羊羹を箱からそっと取り出し、お皿に乗せる。緑茶を淹れたコップからは、新鮮な湯気が勢いよく上っている。朝から動き回ってお腹が空いていて、いよいよ食べようという段階で、何故か手が一瞬止まる。

羊羹の色があまりに美しい。艶やかな小豆とザラついた砂糖が織りなす、あの儚い透明感とこっくりした質感は、コンピューターやプラスチックで再現できるものではない。

羊羹は形も美しい。百年以上前から試行錯誤が繰り返され、科学的に生み出された精巧な輪郭は、堂々としていて緊張感さえ漂う。時間を感じながら食べる羊羹は、旅行に似た癒しを与えてくれる。

「変わってはいけないものなど無い。」以前、虎屋の社長がバラエティー番組で言っていた。伝統を敬いながらも新しさを恐れない姿勢が、この羊羹の味に奥行きを生んでいるのか。

羊羹のように自由に漂うことは、美しいことだと思う。